2011/10/29

モデル時代の話

写真を整理していたら、モデル時代の写真が出てきた。





photo:nomura



これ、19歳くらいだったかな。
すっげーーーーーー恥ずかしいけど、upしちゃおうっと。

写真を見ると、この頃の心境をリアルに思い出す。




世間では、モデルに対してどんなイメージがあるのだろう。
華やかで楽しい世界、だけどそれなりに大変そうだというイメージがあるのかな。
少なくとも私が経験していたものは、今思い返すとそれはそれは苦しいものだった。


自分の趣味とは全く異なる服を着て。
楽しくない時も最高の笑顔を求められて。
周りと比べて評価されて。
知らない人に外見だけでジャッジされて。

たくさん仕事をすればするほど、精神が崩壊していった。


その中で特によく覚えているエピソードを書いてみようと思う。

まず1つは、
「モデルの私服公開」みたいな、よくある特集の中で、
全く身に覚えのない服が、私の私服として登場していたこと。

これは、けっこう悲しかった。
自分を表現するツールでもある私服を、知らないところで勝手にねつ造されているのを見た時は、
私という人間性を全く無視された気持ちになった。


それともう一つ。
私は露出するのはそれほど抵抗がなく、NGな衣装はほとんどなかったのだが、
そんな私に1度だけ、どうしても着たくない衣装があって、それを無理やり
着させられて撮った時があった。

カタログか何かの撮影だったと思う。
後ろのほうのページの、クリスマスグッズ特集で、サンタクロースのワンピースみたいな仮装だった。

私は、ファッション誌のモデルというポリシーを持っていたし、某雑誌の専属モデル
をやらせて頂いている身として、ファッション性のないサンタの仮装は、自分のイメージを
下げてしまうような内容だと判断し、マネージャーに電話でヘルプを出した。


するとマネージャーは、なにやら現場の人と電話で話しだした。
その後、私に代わり
「とりあえず、この場を収める為に着て撮っちゃってくれる?
芥川の意向は伝えてあるから大丈夫だと思う。撮るだけ撮って、
編集の時に載せない方向で頼んでみるから」
と言ってきた。


私が着ないことには現場が動かない雰囲気になっていたので、
仕方なく仮装のサンタワンピを着て、涙を必死にこらえながら笑顔を作って撮影した。


後日、そのカタログを見ると、ばっちり掲載されていた。
これを見た時に、「もうこの仕事辞めよう」と決意した。


その後、駅の求人広告で仕事を探していたら、ヨガインストラクター募集の記事があり、
応募して今に至る。




色々なことが重なり、無理をしていたせいかアトピーも一番ひどくなった時期でもあった。


ニキビ1つでも美容ページにさし障るモデルには、アトピーなんて論外。
オーディションを受けても、アトピーが理由で排除されることも多々あった。


その度に、「あぁ、私ってそんなに受け入れられないんだ」と思っていた。


事務所の人が大嫌いだった。
毎回会う度に「今日は肌が荒れている」
「今日は前回より少し良くなっている」
「今日はこの部分のアトピーが目立つ」
とか、もういちいち言うんだ。

お願いだからちょっと黙っててくれって、いつも思っていた。

そんな中、極めつけはマネージャーに
「芥川って、悩み事とかあんの?なんか、なさそうだよねー。」
と言われた事。


もうね、言葉にならなかった。
これだけ普段から交流がある人にだよ?こんなこと言われちゃうんだよ?
この人は、一体人のどこを見て、何を感じて話しているのだろうかと思った。

そこには全く、心の交流がなかった。



私はなぜ、モデルをしていたのかというと、
自分を表現したかったから。

「私という人間は、こんなんですよ」って伝えたかった。心を伝えたかった。

このような純粋な動機と、あと不純な動機も混じっている。

モデルという肩書を、ステータスにしたい自分がいたと思う。
だから、苦しくても自分の心に嘘をつき続け、この業界からなかなか離れようと
しなかったんだと、今となっては認められる。



こんなに苦しかったんだから、辞めれて良かったんだ!という気持ちと、
正直、ドロップアウトしたのはちょっと悔しい!という気持ちが、2つある。


だって、モデルは皆が皆、こういう想いをするわけではないから。
今、活躍しているモデルさんの中でも、自分のセンスと意志でクリエイトして、
自己表現している人はたくさんいると感じる。

なぜ私はそうなれなかったのだろうかと、悔しい。


どのフィールドにいても自分らしく居られるかどうかは、自分次第。
だから結局、私の力不足だった。


で、自分は何をしたい?

自分らしくいたい。
正直でいたい。
表現して、裏表なく繋がりたい。
自分の心の思うままに生きたい。


じゃあそうしよう。今すぐに。

ただでさえ育児もあって、時間に限りがあるのだから、我慢なんてしてる暇はない。
「いずれ、〇〇だろう」は、ない。
今、自分が本当にやりたいことだけでいいの。

それは、ワガママと言えばそうかもしれない。
ワガママでけっこう。

自分を大事にしなければ、人を愛せない。
明日死んでも後悔しない在り方でいたい。



・・・とは思っていても、ボーっとしてると流されて、いつの間にか自分の人生に
妥協しだす怠惰な自分が出てきそうにもなる。


そんな時私は、モデル時代にあった辛い体験を思い出す。
もう二度と、自分を押し殺したくない!
もう二度と、我慢はしたくない!
このままじゃ、終われない!

こうして、過去の辛い体験は、自分を奮い立たせるものとなる。



だから私は、過去の痛みを忘れたくない。
忘れない為に振り返り、ここに書くんだ。